新人事制度 大阪での報告①~③
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一昨日14日の朝日『社説』は、「既得権にさらに切り込め」と題して、こう述べる。 「内外の競争のなかで必死で生き抜いている人々が、特定郵便局長や郵政の労働組合の『民営化反対』運動に違和感を覚えるのは不思議ではない」。 これは、わかる。特定郵便局長会の動きはもとより、その局長会の応援団みたいなことしかできなかった郵政内の各労働組合の闘い方に対しては、そこの一組合員である酔流亭も納得できない。 しかし、ひっかかるのは、その先。 「公務員の身分や既得権を失いたくないための抵抗だ、と冷ややかな視線が向けられた」。 これも、事実経過としては、そのとおりだろう。だが、『社説』として、その「経過」を無批判にそのまま受け入れてよいものだろうか。 現実には、特定郵便局長と、現場で働く職員の生活も労働の実態も、こんなふうに同列に論じられるものではない。 特定局長は世襲だし、局舎が自前なら、その賃貸料だけでも年間平均400万円の収入となる。もちろんそれと別に局長としての給料が入るのである。それは封建時代の村の小領主を思わせる。小作人の労働を搾取して優雅に暮らしている村方地主の図である(事実、明治になってこの制度が始まったとき、特定郵便局長になったのは、そういう階層の家だった。それが代々世襲されて今日まで来ているのだ)。 これに対して、普通の郵便局員たちは、どうだろう。都市部の労働実態については、もうこの日記で何度も書いてきたから繰り返さないが、地方の特定局長の中には、自局の職員を小作人感覚で酷使しているケースもあると聞く。 つまり、あの『社説』を書いた朝日新聞論説委員は、前近代と近代とを混同しているのである。 特定局長の前近代的特権など、今日の民主社会・市民社会では、当然廃されるべきものだ。しかし、雇い主に恣意的に解雇されたりすることなく、健康に働き続けられる環境を労働者が求めるのは、近代社会において守られねばならぬ権利だろう。 郵便局とよく比較されるのは、宅配便である。そこでは、どういうことが起きているか。 たとえばクロネコヤマトに対しては、労働基準監督署から是正勧告が年がら年中おこなわれている。ただ働きや長時間残業が日常化しているからだ。「うちの社員が(走っていないで)歩いているところを見たら、会社に通報してください」と語った運送会社社長もいた。自分の社の社員に対する「監視労働」を国民に呼びかけているのである。なるほど、ここまでやれば、郵便小包より宅配便のほうが安く上がるだろうし、「郵便局員は恵まれている」と映るだろう。だが、こんな状態を放置しておいて、よいのだろうか。 日本国憲法27条は2項に「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」とある。しかし、我が国のすくなからぬ民間企業では、これは守られていない。 「切り込」まなければならないのは、民間企業のこうした異常な労働実態のほうではなかろうか。 そして、この朝日『社説』のような安直な認識に悪乗りして、非常勤職員まで「既得権に守られた郵政一家」に祭り上げて攻撃してきたのが、選挙終盤の小泉演説であった。こんな流れに押し流されないで、朝日新聞の各論説委員は憲法を守る立場を貫かれよ。
by suiryutei
| 2005-09-16 10:36
| ニュース・評論
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