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新聞『思想運動』の10月1日付に寄稿した文章を転写します。全12面の同紙の4面下段に掲載されました。 ![]() 沖縄現代史に関心を持つ人のなかにも「集団自決」という言葉を無自覚に使ってきた人が多いのではないか。だが、自決とは<自ら決する>ということだ。80年前の沖縄で死に追いやられた人たちの行為を強制の意味を削いでそう表現することはできない。本紙8月1日号2面に掲載された石原昌家氏の論考『沖縄は「自虐史観」という「西田発言」の背景』にそれを教えられた。ここに掲載する文章もそうした学習から得られた成果のひとつだ。【編集部】 沖縄戦による沖縄県出身者の戦没者数は、軍人・軍属28,228名、戦闘参加者(準軍属)55,246名、一般住民38,754名の計122,228人とされる。あくまで概数で、戦災によって戸籍等が消失しているから正確な数字は把握できない。鉄血勤皇隊など学徒の男子は軍人、ひめゆり学徒のような女子は軍属とされる。一般住民の戦死者とは、軍人軍属を除く住民の戦死者を94,000人と想定し、そこから援護法適用者である戦闘参加者(準軍属)を引いた数字だ。終戦前後のマラリアや飢餓による死者は含まれておらず、それらを入れると約15万人が亡くなったと推定される。なお1940年時点の県民人口は約57万5000人。 まだ米軍政下の沖縄で琉球遺族会が結成されたのは1952年2月である。同年4月、日本政府は戦傷病者戦没者遺族等援護法(援護法)を制定した。軍人軍属及び準軍属の公務上の傷病及び死亡等に関し、国家補償の精神に基づき、障害年金・遺族年金等を支給し援護を行うことを目的とする。琉球遺族会は当然ながらその沖縄への適用を求め、53年3月、北緯29度以南(米軍政下に置かれた南西諸島)へも適用が決定される。 公務とは戦闘行為 ところで援護法にいう<公務>とは戦闘行為のことである。すると戦争犠牲者すべてに補償を行なうのではなく、国のために戦った者だけを援護の対象とするのである。靖国神社には戦争犠牲者全てではなく、国のために戦った者だけが祀られる。国のために死んだ者を顕彰することを通じて、これからも国のために戦う者・死ぬ者を作り出すシステムとしてそれはある。そんな靖国思想と援護法とは初めから結びついていた。琉球遺族会が日本遺族会の一支部となった53年10月には、沖縄から初めての靖国参拝が実現している。 その選り分けを行なうため厚生省(現・厚労省)が1957年7月に作成した戦闘参加者概況表は、戦闘参加のありようを20ものケースに分類している。 ・義勇隊 ・直接戦闘 ・弾薬・食糧・患者等の輸送 ・陣地構築 ・炊事・救護等雑役 ・食糧供出 ・四散部隊への協力 ・壕の提供 ・職域による協力 ・区村長としての協力 ・海上脱出者の刳舟輸送 ・特殊技術者(鍛冶工) ・馬糧蒐集 ・飛行場破壊 ・集団自決 ・道案内 ・遊撃戦協力 ・スパイ嫌疑による斬殺 ・漁撈勤務 ・勤労奉仕作業 戦後の沖縄では、集団自決という言葉を、日本軍の指導・強制・命令によって発生したことを前提として使用してきたという。ところが、食べ物を日本軍に強奪されたのが概況表では・食料供出、壕から強制的に追い出されたことは・壕の提供に区分され(書き換えられ)たように、援護法適用の申立書を提出するにあたって、・集団自決も日本軍による強制がぼかされてしまった。<援護法>の対象になるために<軍民一体で戦った結果の死>へと捏造されていったということだろう。つまり日本軍の戦争責任が免責されてしまった。そして国のために戦った者だけが援護に価するというのは、まさに靖国の思想である。 『沖縄県史』の視点 いっぽう、1969年、『沖縄県史』に住民の沖縄戦体験を収録するため、激戦地域を中心に聞き取り調査が開始され、全県に拡大していく。それによって援護法申立書の虚偽とは違う沖縄戦の真実が赤裸々に明かされた。「70年以後、沖縄では<反靖国の視点>による沖縄戦認識が共有され、定説化されるに至った」(石原昌家『「援護法」によって捏造された「沖縄戦認識」』2007年)。 1983年からの家永教科書裁判第三次訴訟で、日本軍による沖縄県民虐殺の記述の前に<集団自決>も書かせることに国が固執したのは、これへの攻撃であった。強制された<集団自決>は日本軍による県民虐殺に含まれるのだから、それ(虐殺)と並べて、しかもそれより前に<集団自決>を書き加えるのは沖縄戦の実相を誤らせるものでしかない。今年飛び出した「西田発言」はそうした流れの先である。一極右議員の失言とすませてはならない。軍民一体の戦争体制づくりに抗おう。 ※今月15日(水曜日)の夜、こんな講座が企画されています。 ![]()
by suiryutei
| 2025-10-02 07:53
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