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新人事制度 大阪での報告①~③
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郵政労働者の交流誌『伝送便』には二つ寄稿した。今日はこちらを転写します。 一〇月二三日のことである。 その夕、本誌一一月号の初校作業があり、そのあとちょっと寄り道をして、私が帰宅したのは午後一〇時半だった。 台所で焼きナスをアテに冷や酒を飲んでいるうちに夜は更けていって、風呂に入ってから寝床にもぐり込んだときには日付が替わっていた。 思い出すのは、現役で働いていた一〇年前までのことだ。私は二〇一五年三月末に定年(当時は六〇歳)を迎え、そのあと一年間再雇用で働いて一六年三月末に退職した。 在職中、深夜勤の連続に入る前日は夜勤が指定されることが多かった。 夜勤は私の職場(東京都江東区にある新東京郵便局)では午後〇時四五分に就労して、終わるのは九時三〇分。それから帰宅するわけだが、職場から千葉県我孫子市の我が家まで、その時間になると電車の接続がよくなくて、まるまる二時間を要した。JR常磐線我孫子駅から乗り換える成田線の本数が少ない。家に着くのは午後一一時半を回った。今年一〇月二三日のその晩よりちょうど一時間遅い。 仕事帰りだから小腹が空いてくる。やはりちょっと飲みながら、食べる。ゆっくり寛いでいるわけではないのだけれど、それから風呂に入ると寝るのは午前一時を回ってしまう。 翌朝は七時前には目が覚めた。陽が高く昇れば、いくら前夜は夜更かししたといっても自分だけ夜の世界に居続けるわけにはいかない。 深夜勤が始まるのは夜になってからだから、昼のあいだ休む時間があることはある。私も昼食を摂ったあと夕方まで寝床にはもぐっていた。 しかし、昼間は眠れないのである。熟睡はまずできない。ウトウトできればいい。ウトウトでも横になれればだいぶ違うが、小さな子どもや介護を要する家族がいる人は、それができない場合も多い。夜の労働に備えての昼間の睡眠をとるというのはほんとうに困難なのである。すると前夜六時間ほど寝ただけで、その夜は一晩中一睡もできない深夜労働に入ることになる。 四時間寝られれば上出来 初日は、それでも昼間は動いていないから、なんとか乗り切れる。けれども深夜勤は連続して指定されるのだ。勤務が明けて、その夜また不眠の労働が待っている。その泊まり勤務と泊まり勤務の間の昼間は、私自身の体験では四時間くらい眠れれば上出来だった。 一〇月二三日の晩に話を戻すと、高市政権が成立して、まだ三日目というところであった(発足は同月二一日)。酒を飲みながら眺めていた民放TVのニュース番組で、新政権が打ち出そうとしている労働時間規制緩和のことが話題にされている。女性コメンテーターが「労働時間規制よりも柔軟な働き方を進めることが大事」といったようなことを述べている。 飲みながらだからあまり集中して聴いていなかったし、深夜なので音声を小さくしていたので、よく聴き取れもしなかった。しかし、「柔軟な働き方」という言葉にひっかかる。 なんだか働き手が自由な働き方を選べるみたいだ。しかし実態は使用者にとっての「柔軟な働かせ方」ということである。コメンテーターは例として(一日八時間にこだわらなくても)一〇時間働いて、それを週四日やれば(労基法上の法定労働時間である)週四〇時間に収まるというようなことをおっしゃる。 先に述べた、私が一〇年前まで従事していた(そして現在でも集中局などで行なわれている)深夜勤が、まさにそういうものだ。実働が一〇時間で、休憩一時間が中にはいるので拘束時間は一一時間。 この深夜勤を二晩続けて、明け非番が入り、また深夜勤二晩。明け非番が入り、七日目が週休だ。 深夜勤・深夜勤・明け非番・深夜勤・深夜勤・明け非番・週休となる。 上っ面だけ見ると、七日間の中に非番が二日、週休が一日と、つまり休みが三日あって、なまじの週休二日よりラクではないかと思えるかもしれない。 だが、この非番は、朝まで徹夜で働いてきた後その日の残りはもういいですよ、という非番である。当時の時間帯では深夜勤①(早番。前夜午後七時スタート)なら午前六時、深夜勤②(遅番。前夜午後九時半スタート)なら午前八時半まで、夜通し働いている。 朝から一日をまるまる休める休日は最後の週休と指定された一日だけだ。 労働基準法が定める一日八時間という原則を緩め、トータルで週四〇時間ならいい、という柔軟化が、郵便局における連続深夜勤務のような働かせ方を可能にしてしまった。働く側の身体のリズムや生活を無視した、働かせる側にとってだけ都合の良い柔軟化だ。 ![]() 認定基準の落とし穴 その新東京郵便局で、去年から今年にかけ二年間たらずで六人もの労働者が在職死亡したことは、ことし本誌の誌面で東京中部ユニオンの原由美子さんが何度も怒りを込めて報告している。六人のうち四人が深夜勤に従事する非正規雇用労働者だ。原さんが書かれたように異常な事態と言うほかない。死因は、八月一八日に六三歳で突然死された男性が大動脈解離であったように、心臓に因する場合が多いようである。 過労死の労災認定では「発症前一か月で時間外労働が一〇〇時間以上」または「発症前二〜六か月平均で一か月あたり八〇時間以上の時間外労働」ということが重視される。この数字(一〇〇時間とか八〇時間)は、過労死した労働者の遺族や弁護士たちが粘り強い闘いで勝ち取ってきた成果でもある。実際、この数字が認定基準となった二〇〇一年以降、過労死の認定件数は大幅に増えたのである。それ以前は泣き寝入りさせられたケースが多い。 しかし、長時間労働以外にも労働者の健康を損なう要因はある。認定基準が時間外労働の数字にかえって縛られて、他の要因が正確に測定されなくなってしまったきらいなしとしない。一〇〇時間なり八〇時間の根拠は何かというと、週四〇時間労働の他に月にそれほどの時間外労働をやっていては日割りして一日五~六時間の睡眠を摂るのは難しい、という判断である。その睡眠時間ラインを切ってしまうと脳・心臓疾患のリスクが増大するというデータがある。 深夜労働の従事者は、先に述べた私の体験からしても、時間外労働をしていなくとも睡眠時間が危険ラインを切っている人が少なくないのではないか。 〔郵便局過労死家族とその仲間たち〕の第二回総会が成功裏に開催されたことが今号にも報告されている。命を脅かされている深夜勤従事者の闘いが、そうした取り組みとつながりながら発展していくよう、私も一OBとして尽力したいと思う。 ![]()
by suiryutei
| 2025-11-30 08:04
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