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新人事制度 大阪での報告①~③
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「台湾有事」に武力介入する可能性を示唆した高市総理の発言(11月7日、衆院予算委員会)を批判する人たち(酔流亭もその1人のつもり)の間で、ちょっと気を付けなければならないと思うのは、1972年の日中共同声明において<日本は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを尊重すると約束した>とする理解だ。これだと、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であると、日本も認識したかのようにも読める。 しかし、日中共同声明のその箇所は、正確には、こうであった。 <中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府はこの中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第8項にもとづく立場を堅持する。> つまり<台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること>を日本政府(当時は田中角栄政権)はストレートに認めたのではなく、中国がそういう立場であることを<十分理解し、尊重>するとしたのだ。 事前の交渉では、中国側はそれに納得しなかった。そこで日本側が補足したのが後段の<ポツダム宣言第8項にもとづく立場を堅持する。>という文言である。ポツダム宣言第8項には<カイロ宣言ノ条項ハ履行セラレルベク>とある。1943年12月に米英中3国首脳によって発出されたカイロ宣言は、台湾・澎湖諸島は中華民国(当時)に返還することが対日戦争の目的の一つとしていた。<一つの中国>という立場から中華人民共和国が中国を代表する唯一の正統政府と認めるのであれば、カイロ宣言に言う<中華民国>とは、中華人民共和国が継承した中国である。国際法は一つの国を代表する政府は一つとしており、日本もアメリカも一つの中国=中華人民共和国が中国を代表すると認めている。 したがってカイロ宣言を承けたポツダム宣言第8項にもとづく立場とは、中国すなわち中華人民共和国への台湾の返還を認めるとする立場を意味する。具体的には台湾独立を支持しないということだ。 これを中国は受け入れて日中共同声明は成立した。 今回の高市発言は、先人たちのそうした配慮や合意への苦労などどこ吹く風であった。それに怒った中国の大阪総領事が「汚い首を切ってやる」とXに投稿した(現在は削除されている)ことが騒ぎになった。たしかに乱暴な表現ではあったけれど、首を突っ込んでくるべきではない者がそれをやったなら、それくらいの反撥は返ってくる。争いの種を先に蒔いたことを棚に上げて話をすりかえてはならない。 高市発言のもう一つの大問題はアメリカをすっ飛ばしていることだ。彼女が口走った「存立危機事態」とは<日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃>を要件としており、その<他国>とはもちろんアメリカを想定している。いっぽう台湾は、日本が<一つの中国>を受け入れている以上、日本政府にとって<国>ではない。まして<日本と密接な関係にある他国>ではない。そもそも集団的自衛権の国際法上の根拠規定は国連憲章51条で、国連加盟国に対して武力攻撃が発生することが前提条件だ。台湾は国連加盟国ではない。中国とアメリカが武力衝突でも起こさなければ<我が国の存立危機事態>にはなりえないのである。 ところが高市総理は、アメリカの名は口に出さず、つまり米中関係がどうであれ、日本単独でも武力介入の可能性を口にしたのである。中国から見れば、日本が先頭に立って突っかかってくるという宣言であろう。<汚い首を切ってやる>くらいのことは言われてもしょうがないよ。アジアにおけるイスラエルの役割りを引き受けるつもりであろうか。 高市総理が無知で浅はかであると嘲ってすむ話ではない。「対中武力行使の行き着く先は、かつて侵略した中国と再度、正当性のない、地獄の戦争を続けるという事態に至ることを意味する」(元内閣法制局長官、宮崎礼壱氏。朝日新聞12月4日朝刊)。 集団的自衛権に踏み込んだ2015年成立の安保法制は違憲だけれども、その違憲の安保法制さえ踏み外した高市発言は撤回しかない。そうして、こんな危ない使い方をされる安保法制も撤廃させよう。
by suiryutei
| 2025-12-15 08:29
| ニュース・評論
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