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『伝送便』の2026年1月号が昨日完成、発送も行なったので、同号に寄稿した『レーダー照射と「台湾有事」』という文章をここに転写します。 文中、11月7日の高市発言を「去年11月7日」、12月6日に起きた中国機による空自機へのレーダー照射は「去年12月6日」というふうに表記してあるのは、掲載誌の発行が26年の1月1日付けになっているためです。ご了解ください。 午前二時の臨時記者会見 スクランブル(緊急発進)をかけた空自機に中国軍機がレーダー照射で応じたのは去年一二月六日午後のことであった。それを最初に明らかにしたのは小泉進次郎・防衛相で、翌七日の午前二時に臨時記者会見を行って発表した。 八日の朝刊に、中国軍機の母艦である空母〔遼寧〕の当時の航路が図示されている。太平洋に向かって沖縄本島と宮古島の間(宮古海峡)を抜けていった先の上空でトラブルは起こった。 ![]() その国の海岸線から最大約二二・二㌔までが領海で、その上空までが領空だ。図を見ると、トラブルが起きたのは日本の領空からはだいぶ距離のある公海上空であることが覗われる。事実「防衛省によると・・中国軍機による領空侵犯は発生しなかったという」(朝日新聞八日付朝刊一面記事)。 自衛隊機のスクランブルは、領空侵犯に対応して行なわれる。今回のトラブルも「防衛省によると、・・演習中の中国海軍空母〔遼寧〕から発艦したJ15戦闘機が、領空侵犯に備えて緊急発進(スクランブル)で対応した航空自衛隊F15戦闘機に対し、レーダー照射を断続的に行なった」(同)というものである。 すると、なるほど「パイロットにとっては、拳銃の引き金に指をかけられたような」(同二面記事)危険なものであるにしても、それに先行する自衛隊機のスクランブルもいささか過剰な対応だったのではなかろうか。 同記事は「ある政府関係者は<普通に飛んでいた自衛隊機に突然レーダーが照射されたという事案ではない>と語り、冷静な対応が必要だと語った」とも伝える。 一〇日の朝刊になると「中国軍機と自衛隊機との距離は一回目は約五〇㌔、二回目は少なくとも約一〇〇㌔以上あり、高度差もあったことがわかった」ということである。「対外公表には主に自衛隊制服組から<危険度合いとしてはそこまで高くなく、必要なのか>という意見が出たという」(朝日新聞一〇日付朝刊三面)。 小泉進次郎・防衛相の午前二時(真夜中ではないか!)の臨時記者会見は、ポーズばかり気にする世襲政治家のから騒ぎであったようだ。しかし、そういうくだらないことが契機となって戦争が起きる場合もある。元々の根は、高市早苗首相が「台湾有事」に武力介入する可能性を示唆したことが日中の緊張を激化させてしまったことだ。 日中共同声明の立場 その高市首相発言は一一月七日の衆院予算委員会で飛び出した。これを批判する人たち(私もその一人のつもり)の間で、ちょっと気を付けなければならないと思うのは、一九七二年の日中共同声明において<日本は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを尊重すると約束した>とする理解だ。これだと、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であると、日本も認識したかのようにも読める。 しかし、日中共同声明のその箇所は、正確には、こうであった。 <中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府はこの中華人民共和国の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項にもとづく立場を堅持する。> つまり<台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であること>を日本政府(当時は田中角栄政権)はストレートに認めたのではなく、中国がそういう立場であることを<十分理解し、尊重>するとしたのだ。 事前の交渉では、中国側はそれに納得しなかった。そこで日本側が補足したのが後段の<ポツダム宣言第八項にもとづく立場を堅持する。>という文言である。ポツダム宣言第八項には<カイロ宣言ノ条項ハ履行セラレルベク>とある。一九四三年一二月に米英中三国首脳によって発出されたカイロ宣言は、台湾・澎湖諸島は中華民国(当時)に返還することが対日戦争の目的の一つとしていた。中華人民共和国が中国を代表する唯一の正統政府と認めるのであれば、カイロ宣言に言う<中華民国>とは、中華人民共和国が継承した中国である。国際法は一つの国を代表する政府は一つとしており、日本もアメリカも一つの中国=中華人民共和国が中国を代表すると認めている。 したがってカイロ宣言を承けたポツダム宣言第八項にもとづく立場とは、中国すなわち中華人民共和国への台湾の返還を認めるとする立場を意味する。具体的には台湾独立を支持しないということだ。 これを中国は受け入れて日中共同声明は成立した。 今回の高市発言は、先人たちのそうした配慮や合意への苦労などどこ吹く風であった。それに怒った中国の大阪総領事が「汚い首を切ってやる」とXに投稿した(現在は削除されている)ことが騒ぎになった。たしかに乱暴な表現ではあったけれど、首を突っ込んでくるべきではない者がそれをやったなら、それくらいの反撥は返ってくる。争いの種を先に蒔いたことを棚に上げて話をすりかえてはならない。 集団的自衛さえ踏み外す 高市発言のもう一つの大問題はアメリカをすっ飛ばしていることだ。彼女が口走った「存立危機事態」とは<日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃>を要件としており、その<他国>とはもちろんアメリカ。いっぽう台湾は、日本が<一つの中国>を受け入れている以上、日本政府にとって<国>ではない。<日本と密接な関係にある他国>ではない。そもそも集団的自衛権の国際法上の根拠規定は国連憲章五一条で、国連加盟国に対して武力攻撃が発生することが前提条件だ。台湾は国連加盟国ではない。中国とアメリカが武力衝突でも起こさなければ<我が国の存立危機事態>にはなりえないのである。 ところが高市首相は、アメリカの名は口に出さず、つまり米中関係がどうであれ、日本単独でも武力介入の可能性を口にしたのである。中国から見れば、日本が先頭に立って突っかかってくるという宣言であろう。アジアにおけるイスラエルの役割りを引き受けるつもりであろうか。 高市総理が無知で浅はかであると嘲ってすむ話ではない。「対中武力行使の行き着く先は、かつて侵略した中国と再度、正当性のない、地獄の戦争を続けるという事態に至ることを意味する」(元内閣法制局長官、宮崎礼壱氏。朝日新聞一二月四日朝刊)。 集団的自衛権に踏み込んだ安保法制(二〇一五年成立)さえ踏み外した高市発言は撤回しかない。そうして、こんな危ない使い方をされる安保法制も撤廃させよう。 ![]()
by suiryutei
| 2025-12-30 08:45
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