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昨日は一日家にこもって労働者文学賞応募作品を読んでいた。小説部門46編、評論ルポ部門12編の全作品に目を通し終え、今は印象に残った作品に絞って二度目の読み込みをやっている。酔流亭の感触では今年は好編が多い。最終選考へ回すには作品をもっと絞り込まないといけないので、悩ましいところだ。 FMラジオを聴きながら読んでいた。夕方4時過ぎ、<セロニアス・モンク>という人名が耳に留まる。大友良英がMCを務める〔ジャズ・トゥナイト〕という番組(NHKFM〕からである。 おや、どこかで聴いたような名前だな、と思い、最近読んだばかりの小説『消失』の主人公が<セロニアス・エリスン>という名であるのに思いあたった。しかも、黒人小説家である主人公は作品の冒頭、自分のことを語って 「私はセロニアス・エリスン。モンクと呼んでくれ」 と述べているのである。 つまり小説の主人公は、高名なジャズピアニストと同じセロニアスという名前であるのにひっかけて、モンクという愛称で呼ばれているのである。小説を読んでいる間、酔流亭はそのことに気が付かなかった。そもそも昨日ラジオを聴くまでセロニアス・モンクというジャズピアニストの存在を知らなかったのだから、当たり前だが。 昨日の〔ジャズ・トゥナイト〕は先週土曜日深夜に放送されたものの再放送で、今年生誕100年を迎えるマイルス・デイビスの特集として、マイルスと共演したプレイヤーの演奏が流れた。”帝王”マイルス(1926-1991)にとって、セロニアス・モンク(1917-1982)は尊敬する先輩であったそうだ。 小説『消失』で主人公は金の必要があって、自分の文学観とは正反対の、本人にとっては<クズ>としか言いようのない小説を偽名で書く。ところが、そのクズ小説が米国でもっとも権威のある文学賞の最終選考に残ってしまう。しかも主人公はその文学賞の選考委員の一人なのである。 さてどうなるか。ネタバレになってしまうから、結末はここには書かないでおく。その文学賞の選考委員たちは500冊の候補作を読んだそうだ。フィクション上のことだが、すこいな。酔流亭は400字×50枚以内の作品58編を読むだけで青息吐息なのに。 作者パーシヴァル・エヴェレットは上のような風貌らしい。『消失』(集英社刊)のカバーから。 ※パーシヴァル・エヴェレットの『ジェイムズ』は掛け値なしの傑作だと思う。
by suiryutei
| 2026-03-26 09:02
| 文学・書評
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