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ビリー・ホリディの自伝『奇妙な果実』を数日前から読み始めている。ジャズ歌手ビリー・ホリディの代表曲が同じタイトルであるのは、あまりに有名だ。 この本は、ずっと前、酔流亭がまだ10代のころから本棚にあった。自分で買った記憶はないから、おそらく3歳上の兄が購入したのが残されたのではないだろうか。 奥付を見ると、初版は1971年2月27日、1972年6月30日7刷となっている。7刷が出てすぐ兄が買ったのだとすれば、そのころ酔流亭は17歳の高校三年生であった。 訳者はジャズ評論家の油井正一と、この人ジャズ評論家でもあったんだよな、大橋巨泉である。 (本の中にある写真。女性はビリー・ホリディだろうが、となりの男性は誰なのか、説明が無いのでわからない。・・と書いてUPした後、どうみてもサッチモすなわちルイ・アームストロングでしょう、とのご教示がFBコメント欄を通じてありました。追記します。) 半世紀以上も本棚の奥に眠っていた本を今になって手にとることになったきっかけは、2週間ほど前の日曜の朝、『狭間美帆のジャズ・ヴォアージュ』というラジオ番組(NHKFM)でビリー・ホリディが歌う『奇妙な果実』がかかったのを聴いたことだ。 番組MCの狭間美帆という人は、酔流亭はこの番組の声でしか知らないが、渡米してニューヨークで活動しているジャズ作曲家だという。番組もニューヨークから放送されている。 「あまりに深刻な内容の歌だから、これまでもかけたかったけれどかけられなかった」と前置きされて流れてきた。深刻というのは、奇妙な果実とは、アメリカ合州国南部で黒人が白人にリンチされ、死体が木に吊るされている様子のことを指すからだ。 歌詞の始めのほうだけ写す。 南部の木々は奇妙な実をつける 葉についた血と根元に落ちた血 黒いむくろが南部の風で揺れる ポプラの木にぶらさがる奇妙な果実 (以下略) その頃、パーシヴァル・エヴェレットの小説『赤く染まる木々』(日本では去年12月刊)をなかばほどまで読み進んでいた。ミシシッピ州の田舎町の食堂で黒人女性が『奇妙な果実』を歌う場面があり、その歌の歌詞も挿入されている。狭間美帆さんが「これまでもかけたかったけれどかけられなかった」この歌を今あえてかけたのは、もしかしたら彼女も最近『赤く染まる木々』を読んだからなのかもしれない。『赤く染まる木々』という題名も『奇妙な果実』が暗示するのと同じ光景を意味しているのである。 『赤く染まる木々』の感想は、また後日書くことがあろうかと思う。今は『奇妙な果実』を最後まで読もう。 ※パーシヴァル・エヴェレットの代表作『ジェイムズ』について〔いてんぜ通信〕去年冬号に書いた感想を貼り付けておきます。
by suiryutei
| 2026-05-04 08:51
| 音楽
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