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『伝送便』6月号への寄稿を転写します。リードにも書いたとおり、労働者文学会ホームページの5月前期コラムとして書いたものの転載です。 労働者文学会ホームページの五月前半期コラムとして『戦争加害の自覚の乏しさと向き合わねば』というタイトルで掲載された文章を改題して転載します。なお<労働者文学会>と検索すれば同会のHPにアクセスできます。労働者が創る文学に興味のある方は覗いてみてください。 二〇一五年の「イラン核合意」の内容は「イランは、兵器に転用できる高濃縮ウランや兵器級プルトニウムを一五年間は生産せず(ウランの濃縮度は一五年間にわたって平和利用に限られる三・六七%までに抑えることが義務づけられた)、一〇トンあった貯蔵濃縮ウランを三〇〇㎏に削減する。また一万九〇〇〇基あった遠心分離機を一〇年間は六一〇四基に限定する。かりにイランが核開発を再開しても、核爆弾一発分の原料の生産に最低一年はかかるレベルに能力を制限する」というものだった。これでイランは核兵器製造からはるかに遠のいたが、この合意から一方的に離脱(二〇一八年)したのは第一次トランプ政権のときの米国である。そんなことは棚に上げて、トランプはイランに核兵器製造の意図があると言い張り続け、とうとう二月二八日、イスラエルと組んでイラン攻撃に踏み切った。ヤクザが言いがかりをつけているようなものだ。 トランプの取り巻きどもの言辞も酷い。朝日新聞の中井大助記者(同紙アメリカ総局長)によると、国防長官(戦争長官)ヘグセスは、イラン攻撃について記者会見で米国の武力の優位を嬉々として誇示し、「公平な戦いではない。倒れているところを殴っているのだ。そうであるべきように」と述べる一方、イランの学校にミサイルが撃ち込まれ一七五人もの児童が死んだのは米軍による可能性があることを問われても「調査する」の一言だけで、その後一か月以上、何の言及もないという(四月二一日朝刊)。 ヘグセスといえば、小泉進次郎防衛相と会談するたび、二人はいかにも意気投合したような演出がされる。高市首相といい、日本の政治指導者たちは、ゴロツキのごときアメリカと、どうしてこうもベッタリなのか。もっと問題なのは、こんな高市や小泉に、日本の有権者が高い支持を与えていることだ。私たちは文学会であるから、文学作品を例に考えよう。 『普天を我が手に』と題する長編小説がある。奥田英朗著、講談社。三部作が去年立て続けに刊行された。男女四人の主人公はいずれも一九二六年つまり<昭和>の始まった年に生まれるという建て付けはなかなか面白いのだが、戦争をくぐり抜けた主人公たちの戦争への思いは、隣国を侵略して酷いことをしたことより、米国のような強い国と戦ってしまったことに対する<反省>に帰着する。だからこの先は、米国にだけは逆らわず、ついていかなければ。戦後日本の平和主義の内実は結局そのあたりに落ちぶれてしまったか。 戦争加害の自覚の乏しさは、私たち労働者文学会が正面から向き合っていかなくてはならないテーマである。 ※関連して ![]()
by suiryutei
| 2026-06-06 08:07
| ニュース・評論
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