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『伝送便』誌来月号の原稿は、佐藤一さんの『松本清張の陰謀』について書くことにした。といっても内容は今月17日の日記に書いたこととほぼ同じである。字句を一部修正し、すこし書き足した。 書き足したのは、朝鮮戦争をめぐってである。松本清張の『日本の黒い霧』では、下山事件も松川・三鷹の事件も、アメリカが朝鮮戦争を開始するための態勢づくりとして占領軍によって仕組まれたということになっている。だが、実際に先に戦端を開いたのは北朝鮮のほうであった。全ては戦争に向けてアメリカが仕組んだ謀略だとするのは清張の思い込みによる杜撰な推理。著者の佐藤さんはそのことを実証的に明らかにして、説得的である。 しかし、では朝鮮戦争とは、何であったのか。佐藤さんの本の眼目は松本清張および清張的思考法に対しての批判であって、朝鮮戦争の性格を論じることではない。酔流亭は自分の原稿を『伝送便』編集部に入稿した後、そのことを改めて考えてみなければ、と思った。 そこで手にとったのが「在日ーふたつの『祖国』への思い」(姜尚中 講談社新書)。去年、古本屋で買って、一度は目を通している。 著者の姜尚中さんは、朝鮮戦争が始まった年の1950年に在日二世として生まれた。この人の語ることに耳を傾けたいと思ったのだ。 北が先手をとったにしても、北緯38度線という“国境”はそもそも半島の人々にとっては外からおしつけられたものである。そして、その分断は日本の植民地支配に起因する。さらに、500万人の死者を出した凄惨な地上戦が行われた一方で、まさにその戦争による特需を追い風として日本は戦後復興のエンジンを全開させた。 姜尚中さんの文章は、ちょっと重いところがある。歯切れがよいとはいえない。しかし、混沌とした現実に向き合い、誠実に思考するなら、そうそう歯切れよくは語れないものであろう。むしろ、いま巷に流行している妙に歯切れの良い議論こそ警戒する必要がある。 そういえば、この人の最新著『姜尚中の政治学入門』(集英社新書)も好著だ。二度読んで、今は友人に貸して手元には無いのだが、暴力を論じた章(たしか第二章であったか)など、教えられるところ多い。教えられるといっても、結論を断定するのでなく、読み手に考える手がかりを示してくれるのである。 ■
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by suiryutei
| 2006-03-31 10:12
| 文学・書評
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Comments(3)
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私怨の書を信じるなんて。へぇー
砂糖一さん、初めまして・・・かな? 佐平次さんのブログに、ちょっと違うHNでコメントされていたのと同じ方でしょうか。
拙ブログへの疑問・批判は歓迎しますが、おっしゃるところの論拠を具体的に示されたほうが、建設的な意見交換ができるかと思います。再度のコメントをお待ちしております。
世の中に私怨ほど大事なものはないでしょう。人を駆り立て思いもよらない働きをさせるのは私怨が根っこにあるから。問題はその行為の結果ラチもないでたらめにとどまるか、立派に公憤たりえているかではないでしょうか>砂糖さん。
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