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8月の半ば頃、ドイツの作家ギュンター・グラスが戦争中にナチスの親衛隊に所属していたことを告白したという記事が新聞に小さく載ったときは、すこし驚いたけれども、大きな関心を持ったわけではなかった。ノーベル文学賞の受賞者として、また映画『ブリキの太鼓』の原作者として、グラスの名は知っていたけれど、その作品は読んだことがないからだ。 ただ、親衛隊加入は今年79歳になるグラスの17歳のときのことだというから、そういうこともあったのか、と漠然と思った。ナチスの悪は比較を絶するものであったのは今日では誰もが知るところだが、いくら聡明であっても同時代に進行している事態を若者が正確に判断するのはむずかしい場合もある。 しかし、その後の報道や知人のブログ上での意見交換に接して、どうもそれですむ話ではないと思うようになった。彼はオピニオン・リーダーとして「過去と誠実に向き合うドイツ」を象徴する人物であったからだ。彼の立場での「60年間の沈黙」には、やはり考え込まざるをえない。 告白しようと思ったことは、おそらく過去に何度かあったのではないか、とも考えてみる。しかし、その機会を掴めないうちに、文名は上がり、ドイツの良心とまで称えられるようになった。告白する機をますます失したのかもしれない。 酔流亭が一番ショックを受けたのは、東独の秘密警察シュタージにグラスは脅されていた可能性があると、髭彦さんのブログで知ったときだ。 もっとも、これも考えれば当然ありうることである。秘密警察なら、要人の過去の履歴を徹底的に調べ上げるから、グラスのナチ経歴も掴んでいたにちがいない。それを利用しないはずがない。 その当然のことでショックを受けたというのは、酔流亭はやっぱり「お子ちゃま」ということなのだろう。 その「お子ちゃま」の頭で、あれこれ考える。 シュタージの暗躍は当然、東独国家がまだ存在していたときのことである。すると、たとえば東西ドイツの早急な政治統一にグラスが反対したというのは、脅されてのことなのだろうか? あるいは、ヨーロッパの東半分にまだ社会主義国がいくつもあった頃、戦域核兵器や中性子爆弾の配備反対運動が盛り上がり、おそらくグラスも積極的な役割を果たしたのではないかと思うのだが(このあたり、詳しい事実経過は知らないから推測だけれども)、これもシュタージにそう行動することを強いられたからなのだろうか? 事実を知らないであれこれ憶測したところで仕方ないのだけれど、酔流亭としては、そうは考えたくない気持ちである。シュタージからの働きかけがあったのは事実だとしても、そういう発言や行動はグラスの信念からのものと信じたい。 逆の場合、つまり東欧諸国で体制変革が始まったとき、その活動家や指導者に対して西側からの働きかけ・工作は当然あったはずだが、あの変革はそれによって行われたわけではあるまい。もっと内部からの自発的な動きだ。グラスの場合も、シュタージに脅されていようがいまいが、同じように発言し行動したとは信じたいのである。 ・・・甘いだろうか。
by suiryutei
| 2006-09-26 19:59
| ニュース・評論
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