新人事制度 大阪での報告①~③
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昨日の日記に先々週の土曜とあるのは3月31日のことだが、先週の土曜(7日)は泊まり勤務の連続が終わった日であった。朝、勤務を終えてから、例によって午前11時の開店を待って神田[まつや]の暖簾をくぐった。 まずビールの小瓶。焼き鳥も注文する。 妻(花まき)のHPのBBSご常連の「なかやん」さんが贔屓にしている花番さんがいた。彼女は普段、夕方から店に出るから、この時間にいるのは珍しい。したがって酔流亭も久しぶりに顔を見る。 なんというか、物腰が柔らかく、明るくなったような気がする。まだ若い方だが、以前はいくらか素っ気無いようなところがあった。さては、「なかやん」さんのような粋人の常連客がファンになっているということが、この人の立ち居振る舞いにプラスに作用したか。 それはさておき、酔流亭はビールをゆっくり飲みながら、持っていた本の目次をゆっくり眺めた。 『日本経済を問う』 伊東光晴著 岩波書店。 去年11月に刊行されたのが地元の図書館にあったので、さっそく借りてきた。そうして、前回、泊まり勤務が明けて[まつや]に来たときは寺島実郎氏の新著『経済人はなぜ平和に敏感でなければならないのか』を、ここで同じように開いていたな、と思い当たった。 というのは、この二冊を貫く問題意識というか視座には共通するものがあるように思ったからだ。 たとえば伊東氏の著作の第一章には「アメリカ的資本主義への欧州からの批判」と題する項目があるが、寺島氏もまたヨーロッパの資本主義の行き方に注意を向けるよう、かねてから提言している。 急いでことわっておけば、これは近代主義が往々そう批判されるような、西欧の視線でものを見るというような話ではない。そうではなく、社会主義の挑戦を受け続け、強力な労働運動が存在するヨーロッパでは、資本のほしいままな行動への社会的規制も強く働いているということである。アメリカに強い「ストックホルダー・カンパニー」(株主のための企業経営)という考えに対する、ヨーロッパの「ステイクホルダー・カンパニー」(企業は株主だけのものではない。従業員のためのものでもあり、社会的責任を問われる)という違いだ。 酔流亭は経済のことはまるでわからないので、あまりあれこれ書き出すとボロが出そうだから、もうやめるが、通読して感じたのは、近代経済学といっても、色々な人がいるんだなあ、ということである。伊東光晴氏は我が国における近代経済学の第一人者であるし、本書でも言及されている橘木俊詔氏も近経だ。橘木氏の格差問題に対する発言は優れたものだと思う。 酔流亭などは学生のとき20代のころ「近代経済学なんか、なんでい」と、勉強もしないくせに思いこんでいたものだけれど、そう単純な話ではないようだ。 「政権に近い市場主義者は、医療の増加に対処して、“受益者”負担を強めよと言って、患者負担の引き上げを求めている。大病にかかって医者にかかる者は受益者なのであろうか。不幸な人ではないのか。かれらはどのような考えの持ち主なのであろうか。私は怒りを感ずる」(192ページ)。 伊東氏のこうした姿勢に酔流亭は深く共感する。
by suiryutei
| 2007-04-09 05:08
| 文学・書評
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Comments(6)
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saheizi-inokori at 2007-04-09 10:11
冷戦時代、社会主義に対する優位性を保持するために資本主義国家は節度をもった経済・社会運営をしてきた。55年体制の日本はその典型かもしれません。社会主義国・日本といわれたほど。
今、その重石が取れて新自由主義・市場原理主義が野放図に猛威をふるっていますね。小泉・竹中とアメリカの二人三脚。
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バブル崩壊後のどん底から這い上がろうと
時の政権はグローバルスタンダードという名のアメリカの文化侵略を どんどん取り入れてきました。 その結果が↑佐平次さんが言われる「市場原理主義」ですね。 本来「会社の持ち主である株主」がコーポレートガバナンスの役割を担うのですが かつての「社会主義的資本主義」に甘えてきた日本経済にそんな理念は育っていません。 いきおい本業を忘れ、コンプライアンスを忘れ、企業の使命も忘れて利潤のみに走ってしまう。 今話題のHOYAによるペンタックス買収がいい例です。 設けのためには「家業」のカメラ部門すら切り捨ててしまう。 やっぱ経営も哲学が一番大切だよなぁ・・・。 いいニュースをひとつ。 岩手県議会議員選挙北上選挙区(小沢代表のお膝元)において 社民党新人が民主現職、自民現職を押え、トップ当選を果たしました。 それほど話題にはなっていませんが、ある意味快挙かと思います。 これで社民党は全県で1議席増の3議席となりました。
伊東光晴氏は近代経済学の視点だけでなく、
マルクス経済学に対する造詣も深いものがあります。 若い頃より、都留氏とならんで、 読みついでいる学者の一人です。 歴史観、社会観の欠けた 経済学者が多いなかで、 出色の存在です。
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suiryutei at 2007-04-12 10:13
佐平次さん、おはようございます。
かつて存在した社会主義国は、内部にあまりに多くの問題を抱えていたようで、資本主義国と競り負けたというより自壊したという側面のほうが強かったみたいですね。しかし、それでも存在していたというそのことで、資本主義の暴走を規制する役割はたしかに果たしていたとも思います。このあたりの正確な評価は私にはまだできないのですが・・・。
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suiryutei at 2007-04-12 10:26
風屋さん、おはようございます。
それは明るいニュースですね。私のところの県議会選挙では、当選枠二人のところを三人の候補が争い、接戦だったのですが、自民と民主が当選、社民党の現職だった女性議員ははじきだされてしまいました(と書いて、いま気づいたのですが、共産党は候補を立てなかったみたい)。残念な結果でした。
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suiryutei at 2007-04-12 10:35
YUKI-archさん、おはようございます。
伊東光晴氏は本書のあとがきに、この本を都留重人先生に捧げたいと書いています。「理論と現実との間にあって、有意な政策を明らかにするという、経済学者にとって難しい問題をテーマにすること」を故・都留重人から若い頃すすめられたとのことです。
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