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■2003/08/18 (月) 11:49:01 金子勝とグラムシ 図書館から借りていた『日本はどこへ行くのか』(講談社「日本の歴史」25)と『市場』(金子勝・岩波書店)を読み終える。 『日本はどこへ行くのか』は「日本の歴史」シリーズの最終卷であり、最初に出された網野善彦の『日本とは何か』と対になるものである。7名の執筆者の共著になっているが、テッサ・モーリス・スズキが担当した「マイノリティと国民国家の未来」(第3章)が一番よく理解できた。ただ、全体としてはこの全25巻の集大成としてはちょっと弱いかなという気がしないでもない。最初の網野善彦の仕事が見事だっただけにそう思う。 金子は学生時代はグラムシばかり読んでいたと何かの雑誌に書いてあった。グラムシは20世紀前半に活躍したイタリアの理論家・革命家である。酔流亭は20代のころにグラムシの入門書を読んだだけだし、その内容だってもう忘れているから当てずっぽうで言うのだけれど、たしかにこの両者、似たところがあるかもしれない。 ロシア革命のような社会の頭部を強襲して権力を奪取するという方向ではなく、グラムシは下からの抵抗闘争で権力を包囲し孤立させる道を志向した。金子が下からのセーフティ・ネットの張替えを主張するのはこのグラムシ理論の読み替えという面もあるのではないか。 もちろん違いも大きい。なにより、グラムシが思考を深めていた時代はロシア革命の余韻さめやらず、すくなくともヨーロッパでは社会主義革命が現実の日程に上っていると考えられていた。いっぽう金子が論壇に躍り出たのはベルリンの壁が崩壊し社会主義の魅力まったく地に堕ちて以降のことである。グラムシがかなり異質ながらもマルクス主義者であり続けたのに対し、金子はマルクス主義を超える道を模索しつつ自らの思考を形成していこうとしているようである。 酔流亭にはまだ消化しきれないが、この意欲あふれる経済学者のこれからの研究に注目したい。
by suiryutei
| 2003-08-18 14:49
| 文学・書評
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