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どうも朝日新聞とNHKの話ばかりで恐縮だが(なんと面白くない男かとお思いでしょう)、NHKの午後2時台の放送の中に『日本列島・天気の旅』というコーナーがある。北は北海道から南は沖縄まで、列島各地の情景が、毎日数箇所ずつ映し出される。それはオホーツク沿岸に寄せてきた流氷だったり、信州の山なみだったり、沖縄の小さな漁港の佇まいであったり。酔流亭はこの映像がちょっと好きである。家に居ながらにして季節の移ろいを感じることができるからだ。ほんの2~3分くらいの短い時間だから、家に居るときでもウッカリすると見逃してしまうのだけれど。 数日前、そのコーナーで、秩父で蝋梅が満開になっているのが映し出された。あの花の、ちょっと透き通った黄が、小さな画面を通じても綺麗であった。見頃は今週いっぱいだという。 蝋梅の季節は、もう終わりかけているのか。今年の二月は寒い日が続いたので、春はまだ先のような気が今でもしているのだけれど、29日ある今年の二月も今日まで。明日からは、もう三月だ。今日の日中は気温も上がった。閏年でなければ、すでに三月である。 真冬から早春にかけて咲く花が好きだ。ミツマタ、紅梅、サンシュユ。そして、これらの花に先駆けて、冬の一番寒いときに咲き出すのが蝋梅である。 数年前、北陸路を旅したことがある。芦原温泉で一泊してから三国湊、金沢へと抜けた。 途中、福井県内の丸岡にも寄った。蕎麦の美味いことで知られる土地だが(がじゅたんと小マメ太郎さんが先日行った三軒茶屋の[東風]という蕎麦屋さんの田舎蕎麦は丸岡の産だったらしい)、小説家・中野重治の出身地でもある。 図書館に隣接している「中野重治記念文学館」を見学した。その庭に蝋梅が一輪。ちょうど今ごろの季節だったのである。案内してくれた館員さんが、東京の重治の家から持ってきて植えたものだと説明してくれた。「中野さんは、この花が好きだったようです」。 寒風に凛とした、その風情は、権力と闘い、革命政党の権威主義や人間軽視にも同じなかった、あの小説家の好みにふさわしいと思ったのを記憶する。
by suiryutei
| 2008-02-29 21:01
| 身辺雑記・自然
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