新人事制度 大阪での報告①~③
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昨日おこなわれた、韓国のイ・ナギョン(李洛淵)首相と安倍総理の会談で、韓国首相が大統領の親書を手渡して関係改善を求めたのに対して、安倍総理は徴用工問題についての韓国大法院判決を「国際法に明確に違反」と批判したという。 相変わらず高圧的である。まずそっちが態度を改めろと言い張るだけで関係改善ができるものかどうか。もっとも酔流亭が思うに、朝鮮を抑え込むには日米韓の結束が大事だから、そのためにも日韓は仲直りをしろ、というような「関係改善」ならしないほうがいいのではないか。別の国を叩くために、その隣国とは仲良くしておこうというような。 ところで酔流亭は大学は法科の学生だったが、授業料が続かず2年と半年で中途退学した。中退してからは、職場でいくらかは労働運動に首を突っ込んだ必要に迫られて労働法関係の入門書くらいは少しは読んだけれど、法律の知識はそれだけだ。だから国際法のことなんかまったくわからない。 そういう素人が言うことだけれど・・・。 二国間で交わされた「約束」とことなる方向の司法判断を一方の当事国の裁判所がしたところで、それがただちに国際法違反ということになるのであろうか。 二国間の条約や協定と国内法との関係は、どちらが優位かというのはかなり微妙な問題だ。その位置づけは国によっても違う(らしい)。これを論じるに、まるで相手が犯罪者であるかのような「国際法違反」という言葉は適切であろうか。 この言葉を使って指弾するなら、強制労働のような行為に対してこそふさわしい。すなわち、かつて日本が朝鮮人徴用工にやったことである。 1930年に採択され、32年発効、日本も同年に批准したILO第29号条約は植民地を念頭において強制労働を禁止したもので、日本がこれに違反してきたことは明らかだ。前述したように酔流亭は中退ながら法学部出身だし労働運動経験者だから、国際法はまったくわからないといってもILO(国際労働機関)がらみのことなら少しは知っている。 それにしても、たとえば日米安保条約を憲法に反しているとする判断を日本の裁判所が下し、アメリカがそれを国際法違反と騒ぎ立てたら、われわれはそんな干渉は不当として断固拒まなくてはならないのではないか。 ▲
by suiryutei
| 2019-10-25 10:48
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今朝も雨、それに強い風が窓をうつ音で目が覚めた。しかし今の時間(朝9時過ぎ)、雨はだいぶ小降りになってきた。 今年の10月は本当に雨が多い。 さて朝刊のTV番組表を見てゲンナリする。NHKはじめ、どこの局も一日じゅう天皇番組ばっかりではないか。 NHKは普段8時からの朝ドラの放送を15分くりあげ7時45分ー8時00分とし、8時からは延々と天皇特番である。15分短縮され7時45分までだった7時台のニュースがまた、一般ニュースは最初の10分間だけで、7時10分からは天皇夫婦が数年前福島県を訪問したときの映像を流したり、天皇特番の先取りみたいな内容。 その間にも、画面の上のほうには大雨洪水警報なんかがあちこちで出ているというテロップが流れる。そういう状況なら本来のニュースをちゃんとやれよと言いたい。 お隣の国を「金王朝」とか揶揄するけれども、こういう日本社会だって相当な王朝社会である。今年生誕100年の加藤周一(2008年死去)が生前、7月14日を論じて、この日はフランス革命の記念日であり現にフランスでは革命記念日と呼ばれているのに、日本ではほとんどの人がそうは呼ばず「巴里祭」で通っているのは日本では王党派が多数派だからだ、と書いていた。その加藤の皮肉が身にしみる今朝だ。 ところで目を覚ましたとき、ふと思ったのは、今日が10月22日ということは昨日は21日で、つまり10.21だ、国際反戦デーであったな、ということだ。10代後半からデモに行くようになって何年かは、10月21日はデモに行く日だと頭にこびりついていた。雨のなかデモをしたことも何度かあったので、それで雨の音を聴いて昨日が10.21だったことに思いが至ったのかもしれない。 10月21日にデモに行かなくなって、もう随分たつ。今でもデモを続けている人たちもいるのだろう。シジフォスさんの今日の更新記事によれば、長崎では昨夜、約300人が集まってデモをしたという。 10.21のほか天皇即位や五輪や自衛隊中東派遣について今日のシジフォスさんの記事内容は同感するところが多いので、久しぶりに貼り付けさせてもらう。 ▲
by suiryutei
| 2019-10-22 09:05
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何度も書いてきたと思うが、酔流亭が暮らす千葉県、それも特に北西部は名だたる枝豆の産地である。しかし地元の枝豆は、もう季節が終わってしまった。たしか今月8日、主に地元産の農作物を扱う店舗が「今年最後の枝豆」と書かれた札を売り場に立てていた。その日が地元から出荷される最終日であったのだろう。 多くの人命が失われているのに不謹慎なことを書く気がするけれど、台風19号の通過が枝豆を獲り尽くした後であったのはせめて不幸中の幸いであった。 しかしその店舗が扱うのは「主に地元産」なのであって、「地元産だけ」なのではない。というのは、今は丹波産の枝豆が店に出ているのである。そうして、これがまた美味しいのですね。 豆一つ一つが、普段食べてきた枝豆よりも大きくて丸っこい。丹波は黒豆も有名だ。なるほど正月が来れば、おせちに欠かせないあの黒豆に化けるのであろう。 昨夜はそんなふうに、枝豆をつまみながら、まずビールそれから清酒へと進んでいった。日本シリーズの実況放送にはまだ時間が早くて、TVはTBS『報道特集』を視ていた。 台風19号で千葉県以上の被害を出している福島県。除染作業で出た汚染土を詰めたフレコンパックが洪水によって流出したという。 3.11の原発事故以後、酔流亭も何度か福島県に行っている。あれだけ大量のフレコンパックが野積みされておれば・・・と今にして思う。小泉環境大臣は台風通過後すぐの15日、「環境に影響はない」と断言しているけれど、『報道特集』の金平茂紀キャスターが疑問を呈したとおり、十分な調査・検証もへず、そうあっさり断言できるものだろうか。 あと酔流亭に疑問なのは、この問題についての大手メディアの報道姿勢だ。朝7時台のNHKニュースはほぼ欠かさず視ているのに、昨夜の民放『報道特集』を視るまで酔流亭はこの事態を知らなかった。自分の迂闊も反省しますけれど。 いまネットで調べてみたら、これを伝えるNHKのネット記事は出てきたから、全く報道していないわけではない。しかし、あまり熱心に追ってもいないのではないか。朝日新聞の報道だってそうだ。 世の中がいよいよおかしくなってきているのが、災害を通じても窺える。天災と人災は絡み合ってやってくる。 ▲
by suiryutei
| 2019-10-20 09:05
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雨の多い10月だ。今朝も雨の音で目が覚めた。我が家のあたり、今は上がっているけれど、首都圏は午後は本降りになりそう。 非正規格差と闘うメトロコマース、不当解雇と闘うユナイテッド闘争団。この二つの合同デモが今夜上野で行なわれる。 集会とデモのあいだ、雨がやんでいてくれればいいのだけれど。しかし、降っていても参加します。 詳しくは下に貼り付けたサイトを。 ▲
by suiryutei
| 2019-10-18 08:40
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昨夜は郵便の運動仲間との会合があった。数年前から、月に一度の割合で集まっている。これまでは神田駅前の喫茶店で集まっていたのだが、多いときは10人くらいの集まりになり、予約は受け付けない店なのでみんなが一緒に座れる座席を確保するのが難しくなってきた。そこで昨夜は初めての試みとして郵政共同センター(『伝送便』事務所)で集まった。JRの駅からちょっと離れている(秋葉原駅からも御徒町駅からも10分近く歩く)ので、今まで使うのを躊躇っていたのだが、考えてみれば、ここは私たちの城なのである。 冒頭、以下のような「提起」を行なった。 ○かんぽ・ゆうちょ不正のその後の展開 7月30日の会社発表では、かんぽについて不正の疑いがある契約は過去5年間に約18万3000件とされた。9月30日発表の中間報告では、そのうち約4割について調査が行なわれ、法令違反が疑われる契約が約1400件、社内規定違反の疑いを含めると約6300件である。約2万6000人が契約を元に戻してほしいと求めている。 まだ対象の4割だけで、6割が未調査だし、調査のやり方自体がずさんとの指摘がある。たとえば相手は高齢で耳の遠い人もいるのに、電話で話がうまく通じないと「対話拒否」で処理してしまうとか。また、そもそも18万3000件では済まないだろうという声も。 いっぽう、ゆうちょでも70歳以上への投資信託販売で1万9591件の社内規定違反(9月13日発表)。ゆうちょでは調査はまだ手も着いていないのでは。 もうひとつ大きな問題として明らかになったのがNHK『クローズアップ現代』(昨年放送)への日本郵政の対応。NHKに抗議に動き、NHKは放送内容を遺憾とする会長名の文書を郵政に届けた。公共放送への重大かつ悪質な圧力だ。
○不正を生んだ背景としての民営化、それに三事業のあり方 金融二社から日本郵便に流れる業務委託料は二社合わせて毎年約1兆円。日本郵便窓口部門の一年間の総収益は約1.2兆円だから大半を占める。ユニバーサルサービスを課せられた日本郵便が独立採算でやっていくにはそれくらいの資金注入が必要。委託料の名に恥じない実績作りを求められることが渉外労働者に対する無理なノルマに。→民営化・分社化の矛盾が露呈。金融部門の詐欺的商法が日本郵便のユニバーサルサービスを支えている?! さらに言えば、民営であろうが国営であろうが、金融部門の稼ぎで郵便を支えるという構造でよいのか? 民営化・分社化によって矛盾があからさまにはなったのだけれど。
○給与制度改悪の問題、私たちの「新人事・給与制度」反対運動に欠けていた点 そして、ノルマ達成に目の色を変えざるをえなくさせられたのが渉外部門について基本給を12%削って業績手当の原資にまわす賃金制度改悪(2015年度から)。その前段、私たちは「新人事・給与制度」改悪反対に全力をふりしぼったつもりだったが、渉外労働者のこの問題は視野に入っていなかったのではなかろうか。
○そこで12月1日に企画している交流討論集会である 当日の会場は文京シビックセンター3A会議室です。13時から17時まで。 かんぽ不正(ゆうちょも)の問題が当然テーマのひとつになると思う。しかし、集配や郵便内務で働いている・働いてきた私たちにとって、かんぽやゆうちょの問題はちょっと遠いところにある気がするというのが正直なところではないだろうか。その上で、どのような討論を作っていったらいいのか。 このあと討論して ○土曜休配への動きを現場から考える(仮題) ○郵便非正規雇用労働者の実情から休息時間剥奪の動きを考える(仮題) ○大阪西パワハラ自殺を考える大阪集会(11.9)報告とかんぽ・ゆうちょ不正問題など(仮題) 以上三つのテーマを設定して、それぞれ報告者を立て討論していくという方向を出した。 これから一ヶ月半、この集会の成功のため尽力するつもりだ。
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by suiryutei
| 2019-10-16 09:20
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台風19号関連で驚いたのは、東京都台東区でホームレスの人が避難所に入るのを拒否されていたという報道だ。拒否されたホームレスは2人で、どちらも男性。1人は午前、1人は午後に避難所に来たが、住所の記入を求められて「住所が無い」と答えたところ「区民が対象なので入れない」と断られた。 午前に来た男性は、新聞社の取材によれば64歳、一晩をどこかの建物の軒下でビニール傘ひとつで過ごしたという。あの暴風・強雨の中でどんな思いだったろう。この台風ではすでに30人を超す死者が確認されている。命にかかわることである。 命にかかわるといえば、台風とは別だが、7日に起きた朝鮮の漁船と日本の水産庁の漁業取締船の衝突事故のことが酔流亭は頭にひっかかっている。日本海の日本の排他的経済水域(EEZ)で起きたと日本政府は発表している。漁船は沈没、約60名の漁民が海に投げ出された。幸い死者は出ていない。漁民たちは取締船の救出活動を受けた後、近くにいた朝鮮漁船に乗り移った。 TVニュースの画像や新聞の写真を見ると、取締船と漁船ではガタイが全然ちがう。取締船は堂々たる船体なのに漁船は小さく、はっきり言って老朽船だ。排他的経済水域から退去させるため約一時間以上、取締船から放水を続けているうち、漁船が旋回して取締船の左舷と漁船の船首が衝突したのだという。なお漁船が「違法操業」していたとは確認されていない。 排他的経済水域というのは公海である。日本の領海ではない。手元に地図があれば確認してほしいが、衝突の起きた大和堆の朝鮮寄り端っこというのは能登半島から北西約340㎞、日本列島と朝鮮半島のほぼ真ん中いくらか朝鮮半島よりくらいのところだ。報道をうっかり聞いていると日本に近い領海での出来事と間違えかねないが。 しかし、その名のとおり、そこにおける経済活動はその国に優先権があるのだから、朝鮮漁船がそこで操業していた、あるいはその準備になる行為をしていたのなら、退去を求めたのは当然だろう。 しかし、沈没するまで追い詰める必要があったのだろうか。人命にかかわることではないか。あの台風19号の暴風雨も凄かったが、自船より何倍も大きな船にぴったり並走されて一時間以上も海水の放水を浴び続けるのも相当にきついことだったろう。朝鮮漁船が操業はしていなかったことは日本政府も認めている(安倍総理は国会で、そう答弁)。 ところが、事件後、自民党の一部からは「甘い」「なぜ国内に連行してこなかったのか」という声が上がっている。それを咎める声は野党からもメディアからも聞こえてこないようである。いま日本国内では、朝鮮に対しては何をやってもいい、いやもっと強気に出ろ、という声が満ち溢れているようだ。そして従軍慰安婦や徴用工問題を通じて、朝鮮と同胞である韓国にも敵意が向けられているのは、このかん見られるとおりだ。 ちょっとおかしいのではないか。 ▲
by suiryutei
| 2019-10-14 09:21
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昨日、午後1時半から、東京高裁の825法廷でユナイテッド航空客室乗務員の解雇撤回を求めての第一回裁判があった。解雇された原告たちの訴えが東京地裁では退けられたので、高裁に上告していたのである。詳しくは下のレイバーネットの記事を。50人ほどが座れる傍聴席は支援者で一杯になった。 法廷は30分ほどで終わり、裁判所の隣りにある弁護士会館の一室で報告会。それが終わったのが午後3時である。 HOWS(本郷文化フォーラムワーカーズスクール)の女性メンバー数人が傍聴に駆けつけていた。この人たちは今から女性労働問題について会議をやるという。酔流亭はそれについて行って日比谷公園の中にあるカフェに入った。弁護士会館から通りを渡れば日比谷公園がすぐ広がっている。 女性たちは店内で会議を始めたが、酔流亭は離れたところのテラス席でグラスのビールを飲みながらバッグに入れてあった大西巨人『神聖喜劇』の第一巻目を開いた。上記HOWSでは『神聖喜劇』の読書会も続いている。文庫版全五巻のうち四巻目まで進んだ。次の読書会は少し先で来年一月下旬である。そこで、それまでに初めからもう一度読み直しておこうと思っているのだ。 午後4時が近づいたので、カフェを出て文部科学省に向かう。毎週金曜日、午後4時から、文科省前では朝鮮学校の授業料無償化適用を求めて「金曜行動」が取り組まれている。酔流亭はいつも参加しているのではないけれど、せっかく金曜の午後に霞ヶ関に来ているのだから、この日は参加しようと思った。 文科省の前は、朝鮮学校の生徒たちや卒業生たちでいっぱいだった。彼ら彼女らのお母さん、日本人の支援者らもいる。辺野古デモでよく顔を合わせる人もいた。朝鮮学校だけを除外して行なわれている授業料無償化の原資は、今月から10%に引き上げられた消費税が充てられている。在日の人たちも、言うまでもなく消費税をはじめ諸々の税金を納めているのである。このことだけでも理不尽な話だ。朝鮮人差別の理不尽さは他にもたくさんあるけれど。 日比谷公園のカフェでの会議を終えた女性たちも途中から合流した。台風の影響で風が次第に強くなってくる。しかし無償化除外の不当を訴える声は風に負けず響き渡った。 ▲
by suiryutei
| 2019-10-12 09:20
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今日の朝日新聞朝刊に掲載された、徴用工問題についての小説家・平野啓一郎氏の発言は読み応えがあった。 平野さんは今日の技能実習生の問題とつなげて考えている。強く同感する。 元徴用工、李春植(イチュンシク)さんのインタビューを読むと、今の技能実習生の問題と生々しく重なりました。異郷の地で過酷な労働をさせられてどんな気持ちだったろうか。労働者は大切にされるべきだという価値観があれば、元徴用工問題の判決文を読んでショックを受けないはずはありません。 働く者の状態が戦前よりは改善されているはずの現代であっても技能実習生として来日・滞在しているアジア諸国の若者たちの働かされ方は酷いものだ。その一端は先日放送されたNHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』からも窺われる。外国人労働者の状況改善に取り組む鳥井一平さんに取材した番組だった。 今日でも状況がこうなのであれば、戦前・戦中、日本が朝鮮を植民地支配していたときの朝鮮人労働者たちが徴用されてどのような働き方をしていたか想像がつかないほうがおかしい。 平野さんの「韓国大法院判決文も読まないような出演者にコメントさせてはいけない。みんなまず、あの判決文を読むべきですよ」という発言に促されたから、というわけでもないだろうが、今日の朝日朝刊には一ページまるまる使って『徴用工 こじれる日韓』という解説記事も載った。その記事中、こうある。 ・・日本政府も個人の請求権があることは否定しないが、協定によってこの問題は解決済みであり、判決は「国際法違反」河野太郎前外相)との立場だ。 この記事を書いた人は疑問を感じなかったろうか。個人の請求権があることを否定しないのであれば、国と国との間でどんなふうに話がつこうと、個人が請求することは否定されないはずではないか。国際法違反なる日本政府の主張はてんで見当外れだ。 玉田大氏という神戸大大学院教授(国際法)が、日韓両政府に注文をつけつつ、またトンチンカンな解説をする。 ・・一方で、韓国政府による「三権分立で政府は(司法に)介入できない」という主張にも無理がある。国家間では条約が国内法に優先する。ナチスのユダヤ人迫害や南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離)政策がその国の法律では認められても、国際法では違法なのと同じ理屈だ。 法学者というのは形式論理しか理解できない人が少なくないらしい。ユダヤ人迫害や人種隔離が許されないのは、国際法より先に人道・人権に反しているからである。韓国大法院判決はそれらと真逆の方向を向く。徴用工への酷い扱いはユダヤ迫害や人種隔離につらなるものではないか。 形式論理をふりかざす法律学者より、「いきなり国家利益の代弁者になって考えるのではなく、まず一人の人間として彼らの境遇を思うことが大切です」という小説家(平野氏)の感性のほうに酔流亭は共感する。 ▲
by suiryutei
| 2019-10-11 09:23
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5日の更新記事で安倍「所信表明演説」を批判したとき、あのパリ講和会議における日本の人種平等提案について、同時代の石橋湛山がたしか何か書いていたはずだと思ったのだが、調べる時間がなかった。 一昨日、高校の同窓会から帰宅してから、本棚の石橋湛山評論集(岩波文庫)をパラパラやっていたら、その箇所が出てきた。『東洋経済新報』1921年7月30日~8月6日~8月13日号の3号にわたる社説『大日本主義の幻想』の中に書かれている。その部分を紹介しよう。岩波文庫版同書では117~8ページである。 ・・・道徳はただ口で説いただけでは駄目だ、またお前がこうするなら、おれもこうするという如き弱きことでは駄目だ。他人には構わず、己れまず実行する、ここに初めて道徳の威力は現わるる。ヴェルサイユ会議において、我が大使が提案した人種待遇問題の如き、わけもなく葬り去られた所以はここにある。我が国は、自ら実行していぬことを主張し、他にだけ実行を迫ったのである。だから当の米国・英国が反対しただけではない。支那からも、どこからも、真面目な後援を得られなかった。もしこれらの国からの後援を得たならば、かの問題は、ああ無残に破れはしなかったろうと信ずる。 これが時代の証言であり、実態であろう。反省しなければならないことを安倍首相は美化して恥じない。だから歴史修正主義だというのだ。 ※5日の更新記事はこれです。 ▲
by suiryutei
| 2019-10-08 09:06
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昨日開会した第200回臨時国会冒頭での安倍首相の「所信表明演説」は、例によって内容空疎とだけ言ってすませておくわけにはいかないシロモノであった。ここでは結びの<五・終わりに>のところについてだけ触れておきたい。ネットに配信されている演説全文からその箇所を貼り付ける。 「提案の進展を、全米千二百万の有色の人々が注目している。」 第一次世界大戦終結にあたってパリで開催された講和会議での日本代表団の振る舞いについて述べているのである。すらっと読んでしまうと、まるで日本代表が高潔な理想を掲げて植民地主義と対決したみたいである。 けれどもこれはとんでもない歴史の偽造だ。 現実の日本代表団の獲得目標(日本政府の外交方針)は、中国・山東省の旧ドイツ権益の譲渡と赤道以北のドイツ領南洋諸島の割譲であった。また「世界中に欧米の植民地が広がっていた当時」と言うけれども、日本だってその時点(1919年)で朝鮮を植民地支配しており、その足元では3.1独立運動が燃え広がっていたのだ。 「『人種平等』を掲げた」と言うのは、国際連盟の発足にあたって人種平等の条項を加えるよう日本が提案したことを指すのだろうが、成立後の国際連盟において日本が人種的偏見によって不利になることをまぬがれようとする一国的な打算によるものであった。当時においてだって、少なくとも建前としては「人種平等」を否定する国はなかった。しかし、それが日本一国の狭い駆け引きから出た提案であるのがミエミエだったから各国代表は冷淡にあしらったのである。 書いておかねばならないのは、労働法制委員会における日本の委員の対応だ。委員会において日本の代表は賛否を即座に決することができず、いちいち本国政府の訓令を仰いだが、それがまるで資本家の要求そのものであった。委員会の決議する労働条件を日本だけはなんとかまぬがれようとして、牧野伸顕全権(上に貼り付けた安倍演説に出てくる、あの牧野伸顕だ)は10カ年の適用猶予を交渉した。 これを見て欧米諸国は、日本が自国の労働者にさえ差別的待遇を与えているのに、外国に対して人種平等を要求するのは矛盾ではないかと批判したのである。 マスメディアや野党指導者の安倍所信表明に対するコメントで、この部分に論及されたのを見ない。あまりに問題山積の演説だったので、そこまで言い及べなかったのかもしれないけれど、こんな歴史の書き変えを放っておいてはならないと思う。 ▲
by suiryutei
| 2019-10-05 09:21
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