新人事制度 大阪での報告①~③
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『伝送便』誌6月号の表紙写真は、5月16日に大阪の扇町公園で開催された入管法改悪反対の集会とデモの模様である。若手弁護士が呼びかけ、約300人が参加した。郵政シルバー・ユニオンからも5人が参加。 その5月16日は、入管に収容中に体調悪化で亡くなったスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさんの葬儀が名古屋で行なわれた当日であった。 なお『伝送便』誌では2月号に入管法改悪に反対することを呼びかける記事を掲載している。今回の入管法改悪は先月18日、廃案となった。上の大阪でのデモのような反対運動の急速な盛り上がりがそれを許さなかったのである。 一昨日、5月31日の朝日新聞朝刊[オピニオン面]掲載の記者解説(荒ちひろ記者執筆)は、前半ではウィシュマさんが死に至った経過を簡潔にまとめている。 彼女は同郷の男子留学生から暴力をふるわれ、去年8月、保護を求めて静岡県内の交番に駆け込んだ。ところが、日本の警察および入管当局は彼女を保護ではなく、取り締まりの対象として扱ったのである。名古屋入管に収容され、今年1月から体調を崩し、2月には車椅子や介助が必要になった。死亡したのは3月6日である。入管施設外の医師が2度診察して、消化器内科医は点滴・入院の必要を、精神科医は仮放免すれば体調改善が期待できると診断したのに、それらは彼女の死後、入管庁が4月に出した報告に記載されていない。 酔流亭はこの記事を読んで、1月に聴いた指宿昭一弁護士の話を思い出した。指宿さんは日本の入管行政について怒りを込めて、こう話したのである。 外国人労働者は使い捨てというより敵視です。外国人は日本人にとって潜在的な敵、徹底的に管理する対象だ。でも入れなければ日本の国が成り立たないから出稼ぎとして受け入れて必ず帰ってもらう。問題を起こしたら徹底的に取り締まる。送還費用すら惜しいから、送還に応じなければ犯罪者にしてしまう。 ところで朝日新聞の記者解説は、記事の後半では今回廃案になった改悪法案についての批判が弱いように思う。むしろ廃案になったそのことを「外国人に対する日本社会の無知と無関心が反映された展開だった」とする。 こういう記述では、このつぎ上程されたときは関心をしっかり持って成立させましょう、という方向に流されていってしまわないか。それでは執筆した記者の思いともずれていくだろう。 「外国人に対する日本社会の無知と無関心」はその通りだが、それを嘆くだけではなく、あの法案の中身がいかに危険なものであるかを、しっかり書いてほしい。 #
by suiryutei
| 2021-06-02 09:00
| ニュース・評論
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『伝送便』誌6月号が昨日完成した。酔流亭はトール社売却問題について寄稿したので、その文章を転写します。 すでに知られているように、二〇一五年に買収して傘下に収めた豪物流企業トール社の主要部門を日本郵政はオーストラリアの投資ファンドに売却する。譲渡日は今月末と予定されている。 問題は買収と売却の金額差だ。六年前にトールを買い取ったときの額は約六二〇〇億円。その金はどこから出たか。当時の西室泰三・日本郵政社長によれば「日本郵便を立て直す原資として前年にゆうちょ銀行から資本を移した一・三兆円から融通する」とのことであった。本誌は当時ただちに「その金があるのなら、非正規雇用の待遇を改善せよ、削られたままの一時金を元に戻せ」と批判したものだ(本誌二〇一五年三月号掲載『オーストラリア物流大手買収をどう見るか』)。 ところが、今回の売却額はわずか約七億円である。トール社には三つの事業部門があり、売却されるエクスプレス事業(宅配業)の簿価は現在でも約六九〇億円なのに。 倉庫業など日本郵政に残る二事業も簿価は約一〇〇〇億円というが有利子負債は約二〇〇〇億円に上るから、トラの子は残したというより、売るに売れなかったか。 簿価で表わされる資産総額がどれほどであっても、今現在で利益を出していない企業の時価は安く買い叩かれる。その差額を利用してハゲタカどもは荒稼ぎするし、逆のケースもある。六年前に日本郵政がトール買収に六二〇〇億円を投じたとき、同社の純資産額は一五〇〇億円と言われていたから、ずいぶん高い買い物をしたわけだ。今度は簿価六九〇億円を七億円で手放すのである。グローバル資本主義の荒波の中で赤子の手をひねられたような無様さである。 しかし日本郵政経営陣の駄目さ加減を嗤うだけでは済まない。経営側は自分たちの不明を棚に上げて労働者にツケを回すからだ。六年前つかまされた「のれん代」(六二〇〇億円-一五〇〇億円)に近い約四〇〇〇億円の減損処理を日本郵政が二〇一七年に行なったとき、トール社では解雇三〇〇人など大がかりなリストラが断行された。今回も売却を梃子にしたリストラが企まられている。六月開催のJP労組全国大会議案は、この問題については「経営改善と成長戦略の道筋」云々としか述べていないけれど、労働者としてインターナショナルな連帯の視点を持ちたい。リストラの動きには反対する声を上げよう。 日本よりも先に郵政民営化が行なわれたドイツでは、民営ドイツポストが元々は米企業であった物流会社DHLを買収して国際物流の覇者になった。日本郵政はこれに倣いたかったのであろう。しかし、そのドイツポストも、一九九一年に約二万九〇〇〇あった郵便局を二〇〇〇年には約一万五〇〇〇局に、労働者数はその間三九万人から二五万人への減である。ユニバーサルサービスは破壊された。民営化とユニバーサルサ-ビスとは両立しないというのがドイツから学ぶことだ。日本郵政は新たな中期経営計画で二五年度までに三万五〇〇〇人の減員(そのうち三万は日本郵便)を盛り込む。経営の失敗を人減らしに転嫁するな。 ※『伝送便』誌2015年3月号掲載『オーストラリア物流大手買収をどう見るか』の全文はこちら。 発送作業と編集会議の後、普段なら居酒屋へ行くのだが、いまの日本は禁酒法の時代。近くのコンビニで缶ビールと乾き物を買ってきて、事務所でひそかに一杯やった。友人のフェイスブックから写真を拝借します。 #
by suiryutei
| 2021-06-01 08:03
| ニュース・評論
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木下武男『労働組合とは何か』(岩波新書 3月25日刊)については何度か感想めいたことを書いてきた。 つい最近、運動仲間の間で議論する機会があったので、そのときの酔流亭の発言を、字句を一部修正して写しておきます。 木下武男『労働組合とは何か』(岩波新書、今年3月25日刊)をめぐって 北健一氏のフェイスブック3月25日更新記事コメント欄でのやりとりがなかなか参考になる。本書について北氏が書いた読後感(別紙)に賛否さまざま合計58本のコメント(北氏の返答も含む)が寄せられ、それが論点を整理するのに役立つのである。 大きな論点は ●年功賃金の功罪 ●企業別労働組合の評価と変革の方向性 の二点であろうか。北氏は木下氏にかなり批判的だが、私は木下氏の論旨におおむね賛成する。たとえば北氏が「年功賃金が賃下げを生み出している(p212~)というのも論拠が?」と?を投げかけている箇所など逆に卓説だと思う。 ただ、運動家を励まそうとしてであろうが、イギリス・アメリカの労働運動史の「いいところ」だけを切り取って紹介し、それらの国で労働者が「離陸」を果たした<前夜>に日本の現在を類推するのは、やや図式的で、研究者から恣意的と批判されるかもしれない。濱口桂一郎氏(労働政策研究・研修機構所長)の書評(氏のブログで3月25日更新)がそうだ。私が『伝送便』誌5月号に書いた書評は、濱口氏による批判に対して木下著作を擁護するもの。 木下武男『労働組合とは何か』書評 ~『伝送便』掲載 : 酔流亭日乗 (exblog.jp) 濱口氏の記事及び北氏FBコメント欄はネットで読んでほしい。 木下武男『労働組合とは何か』: hamachanブログ(EU労働法政策雑記帳) (cocolog-nifty.com) 企業別労組のマイナス面については誰もが言う。問題はその現状をどう変えていくかだ。木下氏は既存労組の「内部変革」に期待は寄せつつも、新たなユニオニズムの「外部構築」に力点を置く。 私はかつて、旧全逓労組において「内部変革」の立場から、こんにち郵政ユニオンで活動している人たちと論争してきた。しかし、当時はどちらも非正規雇用労働者が視野に入っていたとは言えない。正規雇用が当たり前という枠の中での論争であった。今日では全労働者の約4割が非正規雇用で、既存の労組は一部を除けばこれを組織できていない。すると、かつて正規雇用同士が同じ企業の枠内で行なってきた「別労組を作ることの是非」という議論とは全く別の次元で今や問題を考えなくてはならないのではないか。「企業のメンバーシップ」を付与されていない非正規雇用労働者による、企業の枠を越えた業種ごと職種ごとの労働組合を既存の企業別(内)労組の外部に作るというのは、かねてから木下氏が提唱してきたことだが、その条件は熟しつつあるかと思う。既存労組に妨害させてはならない。 郵政の場合で考えると、一般職(木下氏が「弱年功型正社員」と類型化する雇用区分だろう)が徐々に増えつつあり、非正規から登用されるがその際JP労組員が有利とされているので同労組員が多い。この層はJP労組を「内部変革」していく基盤になる可能性がある。「外部構築」と「内部変革」と、両方の働きかけが必要だろう。それを進める運動主体をどう作るかだ。 #
by suiryutei
| 2021-05-31 08:00
| 文学・書評
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中野重治全集の第20巻目を読み終えた。一昨日のことだ。 この読了感はずいぶん久しぶりなので読書ノートで確かめてみたら、前の19巻を読み終えたのが去年の8月15日である。 今年の5月がもう去ろうとしているのだから、いかに700ページを超す分厚な一冊といえ、9ヶ月を要したわけだ。全集は28巻ある。 この巻には、上の写真にあるように、ハイネ、レーニン、ゴーリキー、魯迅について中野が書いた文章がまとめられている。中野自身が[著者うしろ書き]で 「大きな名がならんでしまってたじたじとなるところがあるが、仕方はない。」(691ページ) と述べている。酔流亭もたじたじとなってしまった。仕方ない。 ところで後半に登場するゴーリキーはロシア革命と、魯迅は中国革命と縁の深い人である。同じ1936年に亡くなっているのを今ごろ気づいた。生まれはゴーリキー1868年、魯迅1881年だから、ゴーリキーのほうが一回りちょっと上だ。魯迅は中国革命と縁が深いと書いたが、革命の成就は見る前に亡くなった。 二人の没年である1936年は、中野の人生の中でも苦しい時期であったろう。そのすこし前、1934年に転向しているからだ。しかし、そのころゴーリキーや魯迅について彼が書いた文章は立派なものである。酔流亭はつい最近【いてんぜ通信】に寄せた文章で、 たとえば転向後の中野重治の作品を読めば、自らの転向を凝視し続ける一方で、「日本のアジア諸国への帝国主義的侵略」を支持するようなことは書いていない。これは稀有なケースかもしれないけれど。 と書いたのだが、そう書くことができたのは、ちょうど全集のそのあたりにさしかかっていたからである。巡り合わせのよさに感謝したい。 巡り合わせに感謝といえば、もうひとつ。 労働者文学会賛助会員の志真斗美恵さんが今年出された『追想美術館』(績文堂)に、魯迅と中野重治のエピソードが紹介されている。魯迅が亡くなる直前、自身が出版したケーテ・コルヴィッツの版画集を中野に贈ったというものだ。 『追想美術館』は友人から戴いた。そのエピソードを読むのと全集における魯迅についての中野の記述を読むのと時期がかさなった。それがこの両方の本の読書体験をひときわ印象深いものにしてくれている。 #
by suiryutei
| 2021-05-30 08:30
| 文学・書評
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新聞『思想運動』最新号(6月1日付け)の読者投稿欄である【紙つぶて】に投稿した。 同紙の前5月号に載った『メーデーにちなんで わたしの薦める労働映画この三作』という記事に『家族を想うとき』(ケン・ローチ監督)と『わが青春のフロレンス』(マウロ・ボロニーニ監督』も挙げられているのに嬉しくなって、つい投稿したのである。 本紙前号の「わたしの薦める労働映画この三作」はメーデーの時期にふさわしい好企画だった。 清水雅彦さんが挙げた三作のうちの一つ『家族を想うとき』(ケン・ローチ監督)には私も感動した。ただ、「家族関係も崩壊していく」と書かれていたのにはちょっと不同意である。主人公リッキーが、宅配の勤務中、強盗に襲われて重傷の身なのに、しかし稼がなければとベッドから抜け出して仕事に向かうラストシーンは衝撃的で、もっと深刻な労働災害があの先に待ち受けるのではないかと危惧される。しかし、そんな危機的状況の中で、それまで反目していた息子のセブとはお互いを理解する兆しも覗われた。暗いばかりの映画ではないと私には思われるのだが、どうであろうか。 立野正裕さんが挙げたうちの一作『わが青春のフロレンス』(マウロ・ボロニーニ監督)が日本で公開されたのはちょうど半世紀前、一九七一年の春である。当時フィレンツェはフロレンスと呼ばれるほうが一般的であった。たとえば七二年出版の森信成『唯物論哲学入門』では「人口一〇万~二〇万人くらいのフロレンス」で同じ時期にダビンチやミケランジェロなどの天才が次々輩出したのはなぜかを唯物論の立場から説明している。 そのころ高校二年生だった私は授業の帰りに同作品を吉祥寺の映画館で観た。立野さん推奨のオッタビア・ピッコロ扮するヒロインの連れ合いは煉瓦工だ。ストライキを闘い、社会主義者になっていく。私が初めてベトナム反戦デモに参加し、初めてマルクスの本を開いたのがそのころだから、映画の登場人物たちに素直に共感した。それから半世紀、映画の中の彼らと同じように労働者として生きてくることができたことを喜ぶ。 なお『思想運動』最新号の表紙写真は4月25日に成田空港国際線ロビーで取り組まれたユナイテッド航空解雇撤回要求行動。酔流亭も参加しました。 5面には当日の行動の報告記事も載っています。 ※『伝送便』誌2020年1月号に寄稿した『家族を想うとき』映評です。 #
by suiryutei
| 2021-05-29 08:00
| 映画・TV
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